RDE(Reactive Deposition Epitaxy:熱反応堆積)法とは?

 RDE法はSi基板上にβ-FeSi2を成膜する方法の1つです。RDE法は成長パラメータを精密に制御する必要がないので、膜の成長が容易であると予測されました。しかしSiを基板から拡散させる必要があるため、成膜時及びアニール時の基板温度が高温になってしまいます。これはデバイス作製時のキャリア密度の設計が難しいことを意味します。またSi以外の基板ではβ-FeSi2は成長できません。さらにSiを基板からしか供給できないので,厚膜の成長ができないと考えられます。

RDE法によるβ-FeSi2の成膜手順

 実際に当研究室で作製したRDE法β-FeSi2の作り方は次のようになります。@超高真空中(1×10-9Torr)でSi(001)基板を470℃以上(FeとSiが反応する温度)に保ち、基板上にFeを堆積させます。Aこのとき同時にSiが拡散により基板から供給されます。BFeとSiが反応しβ-FeSi2が形成されます。CそのままFeを供給していくとある程度の厚さまではβ-FeSi2が平坦なまま成長し膜となります。この膜は単結晶の膜であり基板のSi(001)面に対しβ-FeSi2(100)面が平行になっています。これを(100)配向と言いSi面から結晶情報を受け取ってβ-FeSi2がエピタキシャル成長したことを示しています。また後述のように堆積時の基板温度は結晶性に大きく関わってきます。
 (→RDE法によるβ-FeSi2の成長)
 (→Si(111)および(001)基板上のβ-FeSi2のエピタキシャル関係)

結晶の品質化

 β-FeSi2膜を成膜後さらに結晶性を向上させるためには引き続き超高真空中やAr雰囲気中でアニール(焼き鈍し)を行います。アニールとは、基板を数時間高温に保ち原子同士の拡散を促進することにより欠陥を減少させ結晶性を向上させるプロセスです。RDE法で作製したβ-FeSi2もアニールを行うことによりSi原子の拡散が進むため結晶性が向上します。これは主にβ-FeSi2中に欠陥が減ったためと考えられています。しかし同時に膜状になっていたβ-FeSi2が島状に凝集してしまいます。(→アニールによるβ-FeSi2膜の凝集)これはβ-FeSi2とSiの接合面における格子の歪み等により生じた界面エネルギーの差が大きいため、膜から島状に凝集して接触面積を小さくすることでエネルギーを下げたのではないかと考えられています。このとき面白いことにアニール前後で結晶のマクロな形は変化しているにもかかわらず、凝集後もβ-FeSi2のミクロな特性(結晶性や[100])配向)は保たれています。

RDE法によるβ-FeSi2堆積時の基板温度依存性

 これまでに当研究室で得られたRDE法の特性を列挙します。

成長温度 平坦性
(アニール前)
配向性
(アニール前XRDより)
その他
400℃ 悪い 部分的に(100)配向
470℃ 良い (100)配向
550℃ (100)と(202)の両方
700℃ α相が生成

 成長温度は基板の温度を示します。また平坦性はAFMなどにより測定しました。アニールをすることにより平坦性は失われますが、ここではアニール前のデータを示しています。配向性とは、X線回折により得られたSi(001)面とβ-FeSi2の面方向を示しています。通常、熱反応法(SPE)などで作製されたβ-FeSi2膜は多結晶であり、X線回折では(202)面がもっとも強く観察されます。しかしRDE法で作製したβ-FeSi2は(100)配向しており、またTEMなどから単結晶であることが確認されてします。 以上より、Aの条件が最も良いとの結論を得ました。

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