「NMRイメージングにおける移動する物体のコンピューターシミュレーション」


要旨


本研究では、円管内に満たした静止流体中を沈降する球体を、FLASH法を用いて撮像したときに現れるアーチファクト(偽像)について、実験及び計算機シミュレーションを行った。そして、球体の沈降速度に依存して球体の斜め方向にアーチファクトが現れ、球体が四角く見えるという実験結果を得、シミュレーション画像においてその再現に成功した。
 次に、信号の読み取り方向の違いによるアーチファクトの変化、および、シーケンシャルオーダーとセントリックオーダーの、2つのスキャンの順序の取り方におけるアーチファクトの相違点について調べた。さらに実験によって得られたデータから位相画像を作成し、位相シフトが画像に与える影響について調べた。
 以上から、物体の移動方向と平行に信号の読取り方向をとり、シーケンシャルオーダーを用いた計測が最も有効な画像を得ることが出来ることを結論した。