「肘専用MRIの開発と野球肘の撮像実験(Ⅱ)」


要旨


本研究では、プロ、アマ問わず野球選手に多い、野球肘の診断をするための肘撮像用のMRIの開発を目標として行った。まず、0.2T永久磁石磁気回路のための勾配コイルを作成し、肘専用RFプローブを開発した。次に、勾配コイルが発生する勾配磁場の計測など、装置の性能を定量的に評価し、それらに基づいて撮像パルスシーケンスを開発した。さらに、このシステムを用いて肘の撮像を行い、野球肘診断のための撮像手法を確立した。そして、十数名の、肘に何らかの障害を持っている現役野球選手、野球経験者にボランティア被験者として協力してもらい、肘の撮像を実施した。それによって取得した画像を放射線科医に読影を依頼した結果、本装置は、野球肘診断に有用であると結論した。また、本研究により、装置面での課題を明らかにし、野球肘診断用MRIの実用化への展望を得るとともに、野球だけでなく、あらゆるスポーツ障害診断への応用に向けた展望も得られた。