「液状化モデル系における動的プロセスのMRIによる可視化」


要旨


本研究では,2D高速スピンエコー法(FSE)を用いてペットボトル内に実現された地盤液状化モデル系の時間分解計測を行い,モデル系内で再現された液状化現象及び噴砂・噴水現象に伴う水の挙動を可視化した.実験では,水を用いて作成された先行研究における地盤液状化モデル系に比べて,粘性が高く,現象の時間スケールが延長される50%エタノール水溶液を用いた地盤液状化モデル系を作成し使用した.まず,モデル系のNMRパラメタ計測を行い,得られたNMRパラメタと,先行研究を元に行った複数回の実験から決定した最適な撮像パラメタ用いて時間分解計測を行った.円柱状のペットボトルで低透水層の厚さを変えたもの2種類と角柱状のペットボトルを用いたモデル系の合計3種類の地盤液状化モデル系の鉛直断層面と水平断層面の撮像を行ったことで,地盤液状化モデル内の溶液のバルク層の発生による密度不安定性の発生及び,様々な噴砂・噴水脈パターンの三次元的な形状の可視化に成功した.そしてその不安定性の性質から,この系においては,レイリー・テイラー不安定性が発生しているものと結論した.