「踵骨骨密度計測用コンパクトMRIの開発」


要旨


踵骨骨密度計測用コンパクトMRI を臨床に応用するためには,高い計測再現性が要求される. 従来の骨密度評価方法には計測再現性の面で問題があったため,本研究では新たに3 次元的な骨密度評価方法を提案した.そこで,その有用性を示すため,RF プローブの改良,従来の骨密度評価方法との比較実験などを行い,さらに計測値の変動の原因を明らかとするため,磁石の温度分布,静磁場分布並びに中心周波数の変動を計測した.その結果,健常被験者の踵骨を対象とした計測によって,踵骨のリポジショニングがある条件下で,新たな骨密度評価方法の有用性を示すことに成功した.しかし,リポジショニングがない条件下などでは,従来の手法の方が高い再現性を示したため,今後,この新しい評価法における改善を行なっていく必要がある.また,磁石の温度分布計測の実験から,計測される信号値と中心周波数に密接な関連性があることを明らかにした.このことから,磁石の中心周波数の変動が計測再現性に悪影響を及ぼしていると結論づけた.