「三次元MR画像からの泡多面体の自動抽出法の開発」


要旨


本研究では、泡の三次元NMR画像からの泡多面体の自動抽出法の開発を行った。泡多面体の抽出は、頂点の抽出、稜の抽出、面の構築、多面体の構築のプロセスの順に行われている。このうち面の構築と多面体の構築については、既に自動抽出する手法が提案されていて、頂点の抽出と稜の抽出については認識率の点で問題があり、試行錯誤の段階であった。そこで、頂点と稜の抽出については二値化した三次元画像の細線化によって、抽出する手法を開発した。また面の構築については経路探索法を新たに開発し、多面体の構築に関しては結合追跡法のアルゴリズムを開発した。 細線化による頂点と稜の抽出では、二値化された画像に対し、ほぼ忠実に座標と頂点同士の関係を再現することができた。経路探索法による面の構築では、従来法と比較して約250分の1に処理時間を短縮することができた。また、部分空間を使わない事により、部分空間の大きさとそれを移動する距離を設定する必要がなくなり、処理時間と精度のジレンマに陥ることがなくなった。多面体の構築に関しては、今回開発した結合追跡法のアルゴリズムにより、同様に処理時間の短縮が達成され、部分空間の大きさとその移動距離の計算が不要となった。また、面同士の関係が保証されている結合追跡法を用いたことにより、従来法で誤検出される一部の多面体が抽出されなくなった。 実際のMR画像においては、信号強度のむらがあるため、二値化の段階でポリウレタンフォームの形状を正確に再現することが困難であった。このため、細線化による頂点と稜の抽出は、限定された領域においてのみ有効であった。