「Unilateral (片側開放型)NMRに関する研究」


要旨


建材劣化や崩落の原因となる壁面内の含水亀裂を非破壊で検知することは、構造物を保守していく上で重要な課題である。現在までに、電気検査や弾性波探査等の物理探査法が用いられてきたが、それらの手法では間接的な物理量を計測しているため、条件によっては大きな誤差を生ずることがある。一方、NMR(核磁気共鳴現象)を応用した物理探査ではプロトンを直接の測定対象とするため、含水素流体の検知において本質的な計測が可能である。 しかしながら、従来のNMR装置は実験室で使用することを前提に開発されており、寸法や重量が障害となって、これを用いて屋外で広範囲の計測を行うことは困難である。また、その測定対象はマグネット中に設置可能なものに限られ、装置に入りきらない壁内の調査を行うことはできない。 以上の状況を踏まえ、本体外側(~数cm)の開放部に計測領域をもつマグネットが考案された。 本研究では、このマグネットを用いてUnilateral(片側開放型)NMRシステムを実現するために、高周波コイルが作る磁場の強度と均一性を詳細に検討した。