「MR(磁気共鳴)マイクロスコープの開発」


要旨


MR(Magnetic Resonance : 磁気共鳴)マイクロスコープは、アクティブシールド型勾配磁場プローブの完成によって、1990年頃に、ほぼ技術的に完成された。ところが、①超伝導磁石を使用しているため、導入コストが高く、寒剤補給などのランニングコストも高い。②設置に10~20平米の広いスペースを必要とする。③移動や屋外での使用が不可能である。④大量の試料の撮像には適していない、という欠点を有している。そこで、本研究は、以上の欠点を解決し、MRマイクロスコープの新しい可能性を開拓することを目的として実施した。 まず、①の問題を解決するために、大病院等に設置してある臨床用MRIの高磁場超伝導磁石の磁場(1.5T)を利用し、MRI計測システムを一体化してコンパクト化・ポータブル化することにより、臨床現場で、夜間などに手軽に使用できるMRマイクロスコープを開発した。 そして、上記の研究において開発した、コンパクト型MRIコンソールを用い、鉄・ネオジム・ボロン系の永久磁石を用いた磁気回路と組み合わせることにより、設置面積が1平米程度、総重量が300kg程度のMRマイクロスコープを開発し、上記の①~③の問題点を解決した。 さらに、④の問題点を解決するために、大型超伝導磁石の広い均一静磁場空間の中に、互いに協調して動作するように配置した多数の勾配磁場プローブを設置して、同時に多数の試料のマイクロスコープ撮像を行う、超並列型MRマイクロスコープを開発した。 また、以上の研究と平行して、これらの技術を実用化するための起業を行った。