「踵骨骨密度計測用コンパクトMRIシステムの開発」


要旨


踵骨骨密度計測用コンパクトMRIの臨床応用には,1%の高い計測再現性が要求されるが,これまで達成されていない.先行研究において,2次元スピンエコー法に基づく計測再現性の低下は,磁気回路の温度不安定性と,踵骨位置の変動が原因であることが指摘されている.本研究では,これらを改善し,コンパクトMRIによる踵骨骨密度計測の再現性の向上を試みた.第一に,温度安定性の高い磁気回路を導入し,局所シールドを改良した.その結果,踵骨骨密度の計測再現性が向上し,1.34%に到達した.第二に,踵骨位置の変動に合わせて撮像位置を変化できる,オフセット励起を導入した.踵骨位置を移動させたときの計測再現性は,オフセット励起なしの場合と比べて向上したものの,変動係数は8.43%と依然として高かった.これは,スライス励起の位置に依存して,スライス特性が変化するためである.再現性のさらなる向上には,ハードウェアの送受信系の改良が必要である.