「磁場フィードバックによる踵骨骨密度MRI計測再現性の向上」


要旨


当研究室で2000 年から開発されてきた,踵骨骨密度計測用コンパクトMRI が抱える問題の1つに,計測の再現性が挙げられる.この原因として,永久磁石の温度ドリフトを補正する周波数フィードバック法(以下,周波数FB法) に起因したRFコイルの感度分布の変化が挙げられる.本研究では,この問題を解消する別のアプローチからのフィードバック法を確立するため,広い均一磁場空間を発生する,スイープコイルを設計・作成した.この性能評価として,三次元格子ファントムを用いた磁場不均一分布の解析を行った.また,このスイープコイルによる新たなフィードバック法を磁場FB法とし,この手法による計測再現性を定量的に計測し,周波数FB法と比較した.この結果,永久磁石の温度ドリフトが小さい条件下では,高い計測再現性を発揮する周波数FB法と同程度の再現性を確認し,一方,温度ドリフトが大きい条件下において,周波数FB法では大幅に計測再現性が悪化するが,磁場FB法では,温度ドリフトが小さい条件時に近い計測再現性を維持できることを確認した.これにより,スイープコイルと,それによる磁場FB法の有用性を示した.