「低磁場コンパクトMRIにおける水・脂肪分離撮像法の研究」


要旨


水と脂肪は、人体内では、全く異なった機能を有しているが、通常のMRI画像では、全く区別されることなく可視化されている。そこで、低磁場コンパクトMRIで、水・脂肪分離画像を得るための撮像法の開発を行った。2次シムコイルの開発により、水と脂肪の共鳴周波数差、静磁場均一度3ppm 以下の均一性を得ることができた。そして、被験者5名の前腕部の撮像実験を行った。STIR法を使い、各被験者とも、水画像、脂肪画像を得ることができた。Dixon法のみを用いては、水・脂肪分離画像をうまく得ることはできなかったが、STIR法とDixon法を組み合わせて補正することにより、水・脂肪分離画像を取得することができた。
これらの結果から、磁場のドリフトの影響、静磁場の均一性の熱膨張による変動の影響を受けないようにする、すなわち、磁石の温度を安定させることで、水・脂肪分離画像を取得できるとの結論に至った。