「複数の検出コイルを用いた磁気共鳴イメージング法の研究」


要旨


 複数の検出コイルを用いて撮像時間を大幅に短縮する手法の1つにSENSE法がある。ENSEでは、検出コイルの数に比例して撮像時間を短縮できるが、そのアルゴリズムの性質により、SENSEを使わない場合に比べて画像のSNR(信号対雑音比)が低下してしまうため、低磁場のコンパクトなMRIやMRマイクロスコープでSENSEを使用しようとした場合、RFコイルや被写体の熱雑音を起源とする画像のホワイトノイズが大きな問題になる。 そこで本研究では、①SENSE再構成に対するホワイトノイズの影響、②SENSEとSNRの関係、③リファレンススキャンの分解能の影響、の三項目を計算機シミュレーションによって調べ、SENSE法が有効である条件を明らかにし、さらにその条件が緩和されるような、またより低いSNRを持った場合にも適用できるような再構成法の開発を目的とした。 シミュレーションの結果、①に関して、ノイズの発生源によって再構成画像に与える影響が異なった。②に関して、SENSEが有効である限界は、およそSNRが25~50の間にあることを結論した。③に関して、リファレンススキャンの分解能による影響は、分解能を低くすると感度分布のSNRが高くなるため、再構成画像に含まれるノイズ成分が軽減された。  以上の結果から、低磁場のシステムに対するSENSEの有効性を明らかにした。