「超並列型コンパクトMRIの開発」


要旨


均一静磁場空間の中に,複数のMR撮像に適した勾配磁場空間を生成できれば,複数の試料を高い空間分解能で同時に撮像することができ,撮像効率が飛躍的に向上する(超並列型MRI).ところが,従来の技術では,充分な大きさを有する勾配磁場空間を生成することができず,超並列型MRIの応用は,試験管内の標本などの小さな試料に限られていた.そこで,等間隔におかれた多数の平行な電流面間に発生する勾配磁場空間を最適化する手法を開発し,実際に,電流面が3枚の場合と5枚の場合に関して数値計算を行い,巻き線パターンと電流分布を求めた.また,電流面3枚の場合に関して,勾配コイルの製作を行い,設計どおりに勾配磁場が発生しており,同時撮像も可能であることを実験的証明した.以上より,超並列型MRIに,新たな可能性を与えることができたと結論した.