「踵骨骨密度計測用コンパクトMRIの実用化に関する研究」


要旨


 踵骨を対象とした骨密度計測用コンパクトMRIを実用化するにあたっての問題点の解決を目的として研究を行った.問題点とは,①計測時間が長い,②計測の再現性が低い,③設置スペース,導入コストの点での問題がある,の3点である.①に関しては,CPMG法と呼ばれるマルチエコー法を実装することにより計測時間を半分にすることに成功した.②に関しては,高周波磁場の均一化と,同一高周波磁場強度領域を探索する骨密度解析ソフトウェアなどによって解決を試みたが,長期的再現性に関しては有効な結果は得られなかった.③に関しては,下腿の部分のみを銅箔により覆うことにより外来ノイズを遮断することに成功し,これまで必要とされていたシールドルームを不要とすることができた.まだ課題は残るものの,①~③の成果により,骨密度計測用コンパクトMRIは,実用化にかなり近づいたものと結論した.