「骨密度計測用コンパクトMRIの開発」


要旨


踵を計測対象とした,骨密度計測用コンパクトMRIの開発を行った.まず,装置の再現性を,ファントムと健常女性ボランティア被験者群を対象とした繰り返し計測により調べた.さらに,計測対象である,踵とコイルとのカップリングを抑える為に,分割巻きを導入し,装置の再現性の向上を調べた.次に,既存の装置との相関を調べるために,定量的超音波骨密度測定(QUS)法,二重エネルギーX線吸収計測(DXA)法との相関を,被験者群を対象とした計測により,それぞれ評価した.実用化に向けて,現在,用いている画像のデータ取得方法において,位相エンコード数を128から64にすることで,計測時間を短縮し,従来のデータ取得方法との違いを調べた.これらの実験により,長期的再現性で,ファントムでCV=0.8%,被験者群でCV=0.9~1.8%という結果が得られた.また,QUS,DXAとの比較においても,それぞれR2=0.33, 0.39という良好な相関を示した.分割巻きに関しては,計測対象とのカップリングの抑制されている事実が確認できた.位相エンコード数の減少については,分解能は低下するものの,時間の短縮と同時に,再現性が向上することが確認できた.