「横型超伝導磁石MRIのための局所用RFプローブの開発」


要旨


本研究では,1.1 T横型超伝導磁石MRIのための手骨用RFプローブを開発した.RFコイルの形状として,開口方向や磁場方向,SNRに影響する充填率などを考慮して,ハーフバードケージ型を採用し,さらにこれをQD 化してSNRの向上を試みた.感度計測実験を通じて,各モードの信号はQDにより加算されているが損失が存在すること,各モードの感度に差があることが認められた.また,撮像結果を従来の0.3 T永久磁石MRI と比較すると,SNR はこれを2倍程度上回ることができたが,QD時のSNRはButterflyモードのSNRと同程度であった.そのため,静磁場強度の増大から期待される程度のSNRには及ばなかった.一方,Dual scan 法による撮像結果のk-powerと画像のSNRから,1.1 T使用時には信号のダイナミックレンジが受信系のダイナミックレンジを上回っていることが分かった.正確なQDを達成できるようコイル回路を改良したり,受信系にデジタルトランシーバを用いたりといった改善を施せば,より高分解能での撮像にも堪えるだろうと結論した.