研究背景 (Research Background)

  • Introduction

    現在、この半導体素子が性能を上げることは、微細化(小さく)することによって実現しています。 微細化することによって、その素子の「高集積化」、「省電力化」、「高速化」が可能になるからです。 高集積化は、身近なところでは、 文字通りノートサイズにまでなったノートパソコンや携帯電話など、 携帯電話は10年前のパソコンというぐらいに集積率が高まっています。 省電力化では、iPodやPDA、携帯電話のように1回の充電でどれくらい使えるかという時間が増えてきていること、 さらに近年の温暖化などの環境問題により、省電力化を特に意識して製品を作るようになってきています。 高速化では、CPU のクロック数が年々上がって、パソコンなどのデータの処理能力が上がっていることなどが挙げられます。


    これらの高集積化、省電力化、高速化の背景には、たくさんの半導体の研究者の努力があります。 なぜかというと単純 に微細化するだけでは、その複雑な半導体素子内の物理機構のせいで思うようにいかないからです。 なぜ複雑な半導体素子内の物理機構が生まれるかというと、従来のミクロン(1μ=10-6m)ないし、 サブミクロンレベルの大きな素子の世界(つまり大きな半導体素子)とは異なり、微細化によって、 素子サイズが電子の平均自由行程やド・ブロイ波長とあまり変わらなくなってくる(小さい半導体素子)ために、 新しい物理の世界が開けてくるからです。つまり半導体素子の性能を上げるために微細化すればするほど、 今まで見えてこなかった問題が出てきてしまうのです。


    こうした諸所の問題と共に我々の研究室では、デバイス技術を中心に半導体物理からシステム技術の一端まで、 主として計算機を用いて21世紀の新しい情報ハードウェア技術を探って行くことを目指しています。 研究ではこの流れの中から面白そうなテーマを拾い上げ、皆さんと一緒に解きほぐして行きたいと思います。 キーは皆さん自身の手にあります。フロンティアに積極的なチャレンジを期待します。

  • ◆ 微細化限界に近い半導体素子の電子輸送現象の理解

    Quantum

    量子力学(マクロな世界の力学とはまったく異なる、ミクロな世界でのみ成り立つ力学)に基づく効果を理解するための研究に取り組んでいます。

    Coulomb

    電子間クーロン相互作用の物理的理解をすることを目指しています。

  • ◆ 最先端半導体素子の特性予測と新たな半導体素子の創出

    New

    新しい材料や構造でより良い半導体素子の探求をすること、また、そのような新しい素子の特性はどのようなものかを考察することにも取り組んでいます。