蛋白溶液鳥瞰図入門

Shiraki Lab, Univ Tsukuba

日常の科学と蛋白質溶液

私たちの研究グループは、蛋白質溶液の研究をしています。蛋白質の溶解性や凝集のような基礎的な現象の制御や、第三成分を利用する溶媒系デザイン、高分子を使った状態の精密制御まで、蛋白質溶液を理解し、可能性を広げることに興味があります。なお、産学連携はどのような形でも大歓迎です。助言やディスカッションなども、お気軽にお声がけください。

蛋白質の溶液

蛋白質は生命現象を生み出すに足る全ての働きを担う物質です。その蛋白質を自在にハンドリングできれば、生命現象を根本的に理解ができ、そして生命をこの手の中に作り出すことさえできるのではないか。そう思ったのは、出版されたばかりのフルカラー『ヴォート生化学』第一版を手にして感動した大学3年生のころでした。しかし、実際に蛋白質溶液を研究として扱ってみると分かるように、そう単純ではありません。「蛋白質は遺伝情報から翻訳され、フォールディングして働く」という、クリックとアンフィンセンを集約した現代生命科学のドグマはいわば「理想気体」の振る舞いにすぎず、現実には、不可逆に変性する、凝集する、沈殿する、線維化する、ゲル化する、結晶化する、溶解する、分散する、会合する、劣化する、吸着する、失活する、活性化する、など多様な状態や現象が関わってきます。

原理

このような複雑な相互作用の現象の背後には、群れて飛ぶ渡り鳥や渋谷のスクランブル交差点を渡る人のあいだにはたらくような、いわば「弱い相互作用」が重要な役割を担います。おおざっぱには、それが複雑になったものが生命現象です。これを理解して制御できる、もしくは制御しながら理解できるといいわけですが、最近進展が著しいアクティブマターの概念でかなり説明できる渡り鳥や渋谷の若者の動きと比べると、水溶液中に溶けている蛋白質ははるかに複雑です。

ゆで卵

卵白はゆでるとゆで卵になりますが、誰でも知っているこの現象は謎だらけで、研究対象にすれば現在でも新しい法則を色々と取り出せます。例えば、下図のように、卵白を薄めて試験管に入れ、加熱すれば1分ほどで白濁します。いわゆる蛋白質凝集です。ここにアミノ酸の一種であるアルギニンを小さじ一杯加えると全く凝集しなくなります。砂糖のスクロースを入れると大きな凝集体が生じやすく、食卓塩の塩化ナトリウムだと均質な凝集体になります。

日常の科学

塩と砂糖とアルギニンを加えたときの、卵白が固まる現象にはさまざまな現象が関連しています。蛋白質フォールディングの基本原理のほか、キーワードとして、排除体積効果や静電遮蔽、選択的相互作用、ホフマイスター系列、カチオンπ相互作用などによって説明できます。科学は宇宙の果てから原子の中まで明らかにしてきていますが、今もなお「ゆで卵」のような身近な現象が難問として残されているのが面白いものです。この辺りに科学というものの本性が隠れている気がしてなりません。

蛋白質溶液の研究例

蛋白質溶液は、食品や医薬品まで多様な産業から、生命科学の基礎研究にまで関連するものなので、広く興味は持たれるテーマですが、研究が意外に難しいのが特徴です。下記に最近の蛋白質溶液に関する私たちの論文をざっと整理します。詳しくはリンク先の論文をご覧下さい。いってみれば、全てゆで卵の応用研究のようなものです。

蛋白質の薬の扱い

近年、蛋白質医薬品の開発が盛んですが、例えば皮下投与するためには高濃度蛋白質溶液を調整する必要があります。この濃縮が結構むつかしく、そのために疎水性相互作用の抑制が必要なのか、静電遮蔽が効果的なのか、系統的な理解が深まれば高濃度製剤化が実現します。テルモとの共同開発では、高分子電解質を抗体にまとわせて沈殿させる濃縮技術や、抗体酵素薬の物理化学的なストレスへの安定化法などを開発してきます。非共有結合的に蛋白質を安定化する方法は応用の可能性が広く、非共有結合的なPEG化などは、血中でのバイオ医薬品安定化技術として面白いアプローチになると思います。

酵素機能のナノスイッチ

このようなポリマーを使った蛋白質の着せ替え技術をラップ・ストリップ法と名づけています。蛋白質に望みの機能をまとわせる方法です。例えば、酵素活性のスイッチングも可能で、2種類の高分子電解質を組み合わせてオン・オフにできます。これは、高分子電解質が酵素を非競合阻害的に包むため、酵素が本来の働きを担えなくなるからです。汎用性が高くなるようデザインしたPEG化高分子電解質は、不安定で変性しやすいオリゴマー蛋白質でもスイッチングできます。この蛋白質と高分子電解質の相互作用は意外に特異性が高く、応用例としては、バイオセンサーになります。すなわち、光や質量などの物理作用ではなく「相互作用」という複雑な状態でターゲットを検出する技術になるわけです。このテーマは卒業生の冨田峻介博士が精力的に開発を進めています。

第三成分と酵素超活性化

このように、蛋白質溶液にある第三成分(いわば余計な分子)を入れて理想状態から動かすだけで、機能や構造を合理的に制御できることがわかります。活性を増加させることも可能で、高分子電解質をプロテアーゼに添加すれば、活性が一桁以上も増加する超活性化がおこります。原理の説明はけっこうむつかしですが、やっていることは単純で、高分子電解質を加えるだけで、Kmが低下し、kcatも増加する結果、活性が17倍にまで増加します。ここから法則も取り出すことができ、低分子でも活性が5倍ほど増加させられます。超活性化の発見は、バイオテクノロジーには確実に役立ちますが、かたや、酵素が細胞内でどのように働いているかという大事なものが見えていると思います。生体模倣系への展開が今後の課題です。

溶液系の計測法

蛋白質は水の中で働きますが、水と蛋白質の相互作用は古くからある最も難しいテーマのひとつです。筑波大学の服部研と青木博士の共同研究では、テラヘルツ分光で高濃度蛋白質の水和ホフマイスター塩の効果の研究で理解を深めています。筑波大学の長谷研とは、コヒーレントフォノンによる蛋白質の観察を目指しています。産総研の亀田博士とは、添加剤にアルギニンを使う低分子薬剤の分散溶解など、分子動力学の共同研究を続けて理論的な考察を深めています。

素性のいい凝集や沈殿

蛋白質凝集剤には塩と有機溶媒と高分子があります。なかでもアルコール沈殿は、古くから使われている技術ですが、蛋白質の溶解度と構造変化荷電がかかわる難しいテーマです。PEGは高温ほど凝集をよくふせぎ、弱い有機溶媒のような性質があります。等電点付近にすると変性を伴わない凝集体の形状の制御も可能です。このような溶媒効果と高分子電解質を利用して、素性のいい蛋白質凝集を作らせると、蛋白質を安定化でき、濃縮にも使えると考えています。

硬い凝集、アミロイド

アミロイドは繊維状の蛋白質凝集体で、プリオン病やアルツハイマー病の原因になります。試験管内でアミロイドを作らせる方法を使って、アミノ酸の一種のシステインがアミロイドの形成をふせぐことを発見しました。システイン残基のないアミロイドβのアミロイド形成も抑制するので、チオフィリック相互作用が関連すると考えています。なお、後述の低温プラズマはアミロイドも分解しますが、医用のためにはブレイクスルーが必要です。なお、アミロイドは顕微鏡の原理が違うと見え方が異なります。

ナノ素材へ

アミロイドはナノ素材としても興味深く、筑波大学の藤田研との共同研究の成果として、アミロイドをテンプレートにしたグラフェンを作成すると、新しいナノデバイスになります。素材という見方では、たとえば、カーボンナノチューブと脂質膜の相互作用や、単層カーボンナノチューブ・蛋白質複合体のハロゲン系アルコールによる溶液分散筑波大学の山本研との共同研究による、荷電側鎖を片側に集めるβシートなどを作っています。蛋白質から作る均質な球状の凝集体も面白い構造体です。

低温プラズマと蛋白質

大阪大学の北野勝久博士は、ハンディな低温プラズマをつくる方法を開発し、殺菌など医用への応用を精力的に進めています。この殺菌が蛋白質への影響が原因だと考えて共同研究を進めてきました。実際に溶液中にある蛋白質にプラズマ処理をすると、水溶液中での酵素が失活します。これはおそらく、メチオニンやシステインが劣化しやすく、蛋白質の失活の原因ではないかと考えています。プラズマの液中プロセスは、応用の可能性がかなり広く、学術的に深めたい点がたくさん残されています。

産学連携:食品や化粧品や医薬品

蛋白質の溶液はもちろんさまざまな産学連携にかかわってきます。たとえば、キユーピーとは卵白がゆであがる仕組みの理解を、ミルボンとはシャンプーやパーマ液に入れる蛋白質安定化剤を、マルハニチロとはすり身蛋白質の凝集を、味の素とはアミノ酸と凝集を、共同研究してきています。クルードの系の研究ではミオシンが最初で、塩溶液過飽和が論文になっています。ゆで卵など謎だらけなのですが、90℃で30分加熱しても卵白が固まらない溶液などは合理的にデザインできます。

蛋白質溶液のデザイン法

蛋白質のフォールディングを自在に制御するために、溶液をどう合理的にデザインできるか。これが蛋白質溶液鳥瞰図の見方にいたるまでの10年間の課題でした。蛋白質の凝集をふせぐということは、疎水性相互作用をふせぐということです。すなわち、疎水性分子を露出させないよう天然構造を安定化するか、逆に、会合しないよう溶液に分散した変性構造を安定化するかという、一休さんのトンチのような状況を考えないといけません。

蛋白質溶液をデザインしてみる

もっとも単純な、球状の小型蛋白質を中性条件で扱うようなシンプルなモデル系を想定して、蛋白質溶液のデザイン法についてざっと紹介します。けっこう複雑ですが、具体的な頭の使い方として、添加剤を加えることで、天然構造を安定化する側に持っていくのか、変性構造を安定化する側に持っていくのか、という正反対の方針を、蛋白質濃度が薄いのか濃いのか、長い時間おいておくのか、という情報を寄せて考えてみるということになります。具体的な課題を持ってきもらえればいつでも解決に乗り出します。アッという間に解決することがあります。

  • 疎水性領域に結合しやすい低分子化合物=蛋白質の熱変性温度を下げる:変性構造に対するネイティブ構造のギブス自由エネルギーを下げる:加熱にともなう蛋白質の凝集をふせぐ。たとえば、界面活性剤のような両親媒性の分子、アルギニンエチルエステルアミノ酸アルキルエステルスペルミジンやスペルミン直鎖状ジアミンヘキサンジアミンなど。(アルギニンは高濃度でも変性作用がなく凝集をふせぐので優れている)
  • 蛋白質に結合しにくい低分子化合物=蛋白質の熱変性温度を上げる:変性構造に対するネイティブ構造のギブス自由エネルギーを下げる:蛋白質への水和を強める。いわゆるオズモライトと総称されるトリメチルアンモニウムNオキシドやベタイン、グリシン、グルコースやトレハロースなどの糖類など。これらは蛋白質をコンパクトにしようとするため、凝集がむしろ促進する可能性もあります。
  • 水溶液のモル表面張力増加率を低下させる=変性構造に対するネイティブ構造のギブス自由エネルギーを下げる:塩溶のはたらきがある。たとえば、チオシアン酸塩、ヨウ化物塩など。ハロゲン化物イオンの場合、塩溶のはたらきはヨウ化物イオンが強く、「I > Br > Cl > F」の並びになります。いわゆるホフマイスター系列です。
  • 水溶液のモル表面張力増加率を低下させにくい=変性構造に対するネイティブ構造のギブス自由エネルギーを上げる:塩析のはたらきがある。硫酸塩、クエン酸塩など。(有機塩はおもしろい。たとえば、緩衝液の種類で蛋白質の凝集のしやすさが明らかに違いますが、この辺は深めると面白いです)
  • オリゴマー蛋白質とモノマー蛋白質は、第三の成分が蛋白質構造を安定化させるか否かは逆の効果になることがあります。リフォールディングの場合、アルギニンだけではダメで、コスモトロープを併用させると改善されます。
  • 同じ意味で、蛋白質濃度によって、コスモトロープとカオトロープの効果が逆転します。1mg/ml程度の実験に用いる蛋白質溶液では、アルギニンやカオトロープのほうが凝集抑制の効果が高く、10mg/mlではコスモトロープのほうが効果が高い。
  • 高濃度蛋白質の凝集抑制には、アルギニンではなく、排除体積効果を生かすポリエチレングリコール(PEG)やポリビニルピロリドン(PVP)の方が効果が高い。PEGは高温ほど凝集抑制効果が高いが、アルギニンは温度依存性はないのも特徴です。

当然ながらモノマーとオリゴマーの蛋白質では扱いが異なりますし、天然変性蛋白質や膜結合蛋白質はまた違います。弱酸性や高温や高イオン強度にしたいとき、高濃度化したり凍結したいときなど、各論的に条件を変えると、はるかに複雑な因子を考える必要があります。最近まとめた総説では、低分子の添加剤や、高分子のwap-stripが参考になります。

加熱による蛋白質の凝集をふせぐには

アルギニンのほか、アルギニン誘導体である、アルギニンエチルエステルや、グリシンなども含めたアミノ酸アルキルエステル、そしてアミノ酸アミドにも、蛋白質の加熱凝集をふせぐ効果が高いです。なおこれらは0.1Mでも効果があり、弱い変性作用も出てきます。無機塩を使う場合、表面張力を増加させるものほど凝集させますので、たとえばコスモトロープである硫酸塩やクエン酸塩よりは、カオトロープであるヨウ化物塩やチオシアン酸塩の方が凝集をふせぐ効果が高いです。ただし蛋白質濃度が10 mg/ml以上くらいに高まるとカオトロープの変性作用が強まるので、高濃度蛋白質ではコスモトロープが好ましいです。

加熱による蛋白質の劣化をふせぐには

アミンは熱による化学反応をふせぎます。とくにジスルフィド結合のβ脱離やアスパラギンの脱アミノ化を効果的にふせぎ、その効果は蛋白質の種類にもよりません。ちなみにアミンは蛋白質の加熱凝集をふせぐことにも効果的で、天然のポリアミンや、直鎖状ジアミン環状ジアミンにも効果があります。ジオールやモノアミンには効果がないので、複数のアミンがあることが大事です。1mg/ml以下くらいの低濃度の蛋白質溶液には、アミン系の化合物があるといいです。経験的にもリン酸緩衝液よりはグッド系緩衝液のほうが、加熱によって凝集や化学劣化しにくい印象があります。

加熱凝集とリフォールディングの違い

蛋白質は加熱しても凝集しますが、還元変性状態からのリフォールディング時にも凝集しやすいものです。両者の凝集体の構造も違っており、加熱凝集体の方が還元凝集体よりβ含量が高いです。したがって効果のある化学構造も違います。蛋白質の加熱凝集にはアミノ酸主鎖が効果的で、還元状態の凝集をふせぐグアニジウム基とは異なります。よって、アルギニンアミドはアルギニンよりリフォールディング収率を増加させます。オリゴマー蛋白質のリフォールディングには、アルギニンとコスモトロープを併用する方法がありますが、オリゴマー蛋白質は条件設定が困難です。

アルギニン・テクノロジー

蛋白質溶液にアルギニンを加えるだけで、蛋白質の加熱やリフォールディングにともなう凝集をふせぐほか、蛋白質の粘度をさげたり芳香族分子の溶解度を増加させたり蛋白質の固体への吸着を抑制したりリフォールディングを助けたり、さまざまな応用が可能です。アルギニンマジックです。1%溶液くらいが効果的で、グアニジニウム基の持つ特別なカチオンπ相互作用が重要です。温度依存性はなく主鎖アミノ基のプラス電荷も不可欠です。アルギニンの原理や応用の研究は、Alliance Protein Laboratories, Incの荒川力先生や、卒業生の平野篤博士と長年、研究を深めてきています。これまで書いたアルギニン関連の論文リスト

蛋白質溶液と現象

これまで研究してきた蛋白質や現象について。最も多いのは、単量体の小さなリゾチームで約30本の論文を書いています。大きなものは4量体のガラクトシターゼ、変異体をたくさん扱ったのはセリンプロテアーゼ、膜表層蛋白質や、糖蛋白質、膜に孔をあける疾患因子のヘモリシンなどもあります。相互作用はカーボンナノチューブやポリマーやプラスチック基材なども、状態制御のために使う無機イオンやアミノ酸やアミンなど低分子や、合成したPEG化高分子電解質までさまざまです。かつてはモデル系で綺麗な研究をしてましたが、最近は「汚い系(crude)」と名づけている、生きた混じり物の状態を扱う系が増えてきています。

Protein Folding

○hyperthermophilic phenomena
 ・heat maturation (CGTase, 1999)
 ・thermodynamics (MGMT, 2002)
 ・enzymatic activity (t-RNA, Syn 2003)
 ・mutagenesis (MGMT, 2004)
 ・multistage pathway (MGMT, 2005)
○industrial application
 ・serine protease (endpeptidase, 2002)
 ・homologous cloning (endpeptidase, 2004)
 ・oligomer (GSH S-transferase, 2005)
 ・metabolism (xylanase, 2005)
 ・industry (nitrile hydratase, 2008)
 ・metabolism (phytochelatin S, 2008)
 ・membrane (polygalacturon S, 2010)
 ・signal transduction (interleukin, 2010)
○refolding
 ・thermal-assisted refolding (lysozyme, 2005)
 ・solution additives (lysozyme, 2007)
 ・oligomeric protein (b-gal, 2010)
○crystallization
 ・amino acids (lysozyme, 2008)
 ・amino acid esters (lysozyme, 2008)
 ・GSH ethylester (lysozyme, 2010)
 ・amino acids (serine protease, 2010)
 ・glycine amides (lysozyme, 2010)

Bulk Control

○aggregates
 ・thermal (lysozyme, 2002)
 ・spherical (concanavalin A, 2005)
 ・pore (hemolysin, 2005)
 ・amyloid-like (36 proteins, 2007)
 ・functional amyloid (peptide, 2008)
 ・reduced and thermal (lysozyme, 2008)
 ・cluster-cluster aggregation (lysoyzme, 2011)
 ・1D and 3D (lysozyme, 2012)
 ・degradation (lysozyme and RNase A, 2012)
 ・adsorption on styrene (6 proteins, 2013)
 ・dissolution (myosin, 2013)
 ・pH dependence (lysozyme, 2016)
○solvent additives
 ・amino acids (lysozyme, 2002)
 ・Arg ethylester (lysozyme, 2004)
 ・polyamines (lysozyme, 2004)
 ・amino acid alkylesters (lysozyme, 2005)
 ・Hofmeister salts (lysozyme, 2007)
 ・amino acid derivatives (lysozyme, 2009)
 ・polyamines (polygalacturon S, 2010)
 ・glutathione ester (lysozyme, 2012)
 ・alcohol (lysozyme, 2012)
 ・thiophilic interaction with Cys (Ab 2013)
 ・caprylic acid (ovalbumin, g-globulin, 2016)
 ・N-acetyltryptophan(ovalbumin, g-globulin, 2016)
 ・PEG & Arg (lysozyme and RNase A, 2012)
 ・amysoft & Arg (gallates, 2012)
○LF plasma
 ・liposome with radical (lysozyme, 2012)
 ・amyloid structure (lysozyme, 2013)
 ・degradation (amino acids, 2015)
○solubility
 ・Arg & Gdn (R-lysozyme, 2008)
 ・Arg (coumarine, 2008)
 ・Arg (peptide, 2010)
 ・Arg & salts (b-gal, 2010)
 ・Arg (nucleobases, 2010)
 ・Arg (gallates, 2011)
 ・PEG (amino acids, 2012)
 ・viscosity (albumin, 2013)

Binary Factor

○polymer
 ・stabilization (lysozyme, 2009)
 ・toggle switch (4 enzymes, 2010)
 ・hyperactivation (2 enzymes, 2013)
○lipid
 ・stability and interaction (BPTI, 2008)
 ・liposome-small compounds (gallate, 2011)
○carbon material
 ・CNT-alcohol (3 proteins, 2009)
 ・CNT-detergent (buffer only, 2009)
 ・CNT-denaturant (3 proteins, 2010)
 ・CNT-lipid (lysozyme, 2010)
○protein polyelectrolyte complex
 ・precipitation and concentration (10 proteins, 2014)
 ・stress resistance (antibody, 2015)
 ・stress resistance (enzyme, 2015)
 ・toxicity and scale up (antibody, 2015)

Hyperactivation

○additive
 ・polyelectrolyte (chymotrypsin, 2014)
 ・polyamine (chymotrypsin, 2015)
 ・kosmotrope (chymotrypsin, 2016)

Crude-State Protein

○pork meat
 ・solubilization by Arg (porcine myosin, 2015)
 ・control of soluble filament (porcine myosin, 2015)
○boiled egg white
 ・Hofmeister effect (egg white protein, 2015)
 ・Arg (egg white protein, 2017)
○co-aggregation system
 ・electrostatic role (bLG and lysozyme, 2016)

Phenomena and state

 ・adsorption 吸着
 ・affinity 親和性
 ・aggregation 凝集
 ・association 会合
 ・binding 結合
 ・concentration 濃度
 ・crystallization 結晶化
 ・catalyzation 触媒
 ・complexation 複合体化
 ・condensation 濃縮
 ・contact 接触
 ・crowded 混み合い
 ・desorption 脱離
 ・denaturation 変性
 ・deposition 析出
 ・destabilization 不安定化
 ・dilution 希釈
 ・dimerization 二量体化
 ・dissociation 乖離
 ・dissolution 溶解
 ・drying 乾燥
 ・fibrillization 線維化
 ・folding 折れたたみ
 ・freezing 凍結
 ・hydration 水和
 ・localization 局在化
 ・oligomerization オリゴマー化 
 ・open system 開放系
 ・precipitation 沈殿
 ・preferential hydration 選択的水和
 ・preferential interaction 選択的相互作用
 ・purity 純度
 ・refolding リフォールディング
 ・renaturation 再活性化
 ・saturation 飽和
 ・solubilization 可溶化
 ・solting-in 塩溶
 ・solting-out 塩析
 ・stabilization 安定化
 ・supersaturation 過飽和
 ・thawing 融解
 ・unfolding アンフォールディング

蛋白質溶液の用語と測定法

蛋白質溶液には、温度や圧力などの因子も、脂質や核酸や糖質などの生体分子も、試験管で扱うときの緩衝液や無機塩なども関係します。蛋白質の状態の記述には、物理学や化学や生物学や高分子化学や溶液熱力学など多様な分野のなかの多様な方程式やパラメータが関係します。測定法も分光法や電気泳動や熱量計や顕微鏡などさまざまで、ノーベル賞を量産してきたX線結晶構造解析のような王様から、去年のノーベル賞になったSTED顕微鏡や、これからノーベル賞になるクライオ電子顕微鏡まで、あらゆる切り口での測定法が開発されてきています。

Fundamental factor

○physical and chemical parameter in solution
 ・temperature
 ・pressure
 ・pH
 ・ionic strength
 ・concentration
 ・composition
○composition
 ・amino acid, peptide, protein
 ・lipid, vesicle
 ・nucleic acid, DNA, RNA
 ・sugar, polysaccharide
 ・water
 ・inorganic salt, metal ion
 ・osmolyte, metabolite
 ・buffer
○force
 ・electrostatic interaction
 ・hydrogen bond
 ・hydrophobic interaction
 ・van der Waals interaction
 ・dipole-dipole interaction
 ・charge-dipole interaction
 ・London dispersion force

Theory

○protein folding
 ・two-state theory
 ・folding-funnel theory
 ・hierarchical folding theory
 ・non-hierarchical folding theory
 ・Eyring plot
 ・Hill plot
 ・Chevron plot
 ・hydropathy plot
 ・Gibbs-Helmholtz plot
 ・Ramachandran diagram
 ・van't Hoff plot
 ・double mutant cycle
 ・secondary structural prediction
 ・self-consistent field theory
○polymer and aggregation
 ・diffusion-collision theory
 ・diffusion-limited cluster aggregation
 ・reaction-limited cluster aggregation
 ・gap theory
 ・Finke-Watzky theory
○solution state
 ・Kratky plot
 ・Guinier plot
 ・Zimm plot
 ・Jones-Dole equation
 ・Deby-Huckel equation
 ・McMillan-Mayer equation
 ・Andrade's V-T equation
 ・depletion theory
 ・Kirkwood-Buff theory
 ・Kramers theory
 ・Gouy-Chapman theory
 ・excluded volume theory
 ・Debye-Huckel plot
 ・Arrhenius plot
○kinetics and activity
 ・Michaelis-Menten kinetics
 ・steady state kinetics
 ・pre-steady state kinetics
 ・Lineweaver-Burk plot
 ・Hill equation

Parameter

○intrinsic factor
 ・molecular weight
 ・number of residue
 ・primary structure
 ・secondary structure
 ・tertiary structure
 ・quaternary structure
 ・quinary structure
 ・absorption coefficient
 ・molar extinction coefficient
 ・isoelectric point
 ・hydrophobicity
○protein structure
 ・melting temperature
 ・Gibbs free energy
 ・van't Hoff enthalpy
 ・calorimetric enthalpy
 ・entropy
 ・molar heat capacity change at constant pressure
 ・kinetic rate constant
 ・alpha-helix propensity
 ・beta-sheet propensity
 ・accessible surface area
 ・temperature factor
○state in solution
 ・chemical potential
 ・transfer free energy
 ・equilibrium constant
 ・second virial coefficient
 ・preferential interaction coefficient
 ・preferential hydration coefficient
 ・gap theory
 ・Hofmeister series
 ・osmotic pressure
 ・chaotropicity
 ・solvatochromism
○kinetics
 ・Michaels constant
 ・catalytic constant
 ・binding constant
 ・inhibition constant
 ・maximum velocity
○viscosity
 ・viscosity B coefficient
 ・second osmotic virial coefficient
 ・shear stress
 ・shear rate
 ・kinematic viscosity
 ・Newtonian
 ・non-Newtonian
 ・dilatant
 ・plastic flow
 ・shear thinning
 ・thixotropy
 ・rheopexy
 ・sedimentation coefficient
○gas‐liquid interface
 ・slipping
 ・sliding
 ・surging
 ・avalancing
 ・slumping
 ・rolling
 ・cascading
 ・cataracting
 ・centrifuging

Method

○structural biology
 ・x-ray crystallography
 ・nuclear magnetic resonance (NMR)
 ・in cell NMR
 ・molecular dynamics simulation
○spectroscopy
 ・far-UV circular dichroism (CD)
 ・near-UV circular dichroism (CD)
 ・linear dichroism (LD)
 ・Fourier transform infrared spectroscopy (FT-IR)
 ・fluorescence spectroscopy
 ・fluorescence resonance energy transfer (FRET)
 ・fluorescence depolarization
 ・fluorescence quenching
 ・flow cytometry
 ・UV spectroscopy
 ・visible spectroscopy
 ・terahertz spectroscopy
 ・coherent phonon spectroscopy
 ・electron paramagnetic resonance (EPR)
 ・Raman spectroscopy
 ・electron spin resonance (ESR)
○technique
 ・H/D exchange
 ・stopped-flow spectroscopy
 ・flow-injection spectroscopy
○electrophoresis
 ・SDS-polyaclylamidegel electrophoresis
 ・native electrophoresis
 ・isoelectric focusing electrophoresis
○capillary electrophoresis (CE)
 ・capillary zone electrophoresis (CZE)
 ・affinity capillary electrophoresis (ACE)
 ・frontal analysis continuous capillary electrophoresis (FACCE)
 ・Hummel-Dreyer method
○calorimetry
 ・differential scanning calorimetry (DSC)
 ・differential scanning fluorimetry (DSF)
 ・isometric titration calorimetry (ITC)
○scattering
 ・dynamic light scattering (DLS)
 ・static light scattering (SLS)
 ・small angle x-ray scattering
 ・x-ray diffractometry
○mass
 ・matrix-assisted laser desorption/ionization mass spectrometry (MALDI-MS)
 ・electronspray mass spectrometry (ES-MS)
 ・liquid chromatography mass spectrometry (LC-MS)
○binding
 ・surface plasmon resonance (SPR)
 ・quartz crystal microbalance (QCM)
 ・pulldown assay
 ・super centrifugation
 ・enzyme-linked immunosorbent assay (ELIZA)
 ・Immunoprecipitation
○microscopy
 ・scanning electron microscopy (SEM)
 ・transmission electron microscopy (TEM)
 ・atomic force microscopy (AFM)
 ・cryo electron microscopy
 ・confocal laser scanning microscopy (QLSM)
○chromatography and purification
 ・gel filtration chromatography
 ・anion ion exchange chromatography
 ・cation ion exchange chromatography
 ・affinity chromatography
 ・hydrophobic chromatography
 ・mixed mode chromatography
 ・reverse phase chromatography
 ・centrifugation
 ・dialysis
 ・ultrafiltration
○submicron particle sizing
 ・transmission electron microscope (TEM)
 ・dynamic light scattering (DLS)
 ・tunable resistive pulse sensor (TRPS)
 ・particle tracking analysis (PTA)
 ・differential centrifugal sedimentation (DCS)
 ・quartz crystal microbalance dissipation (QCM-D)
○viscosity / viscoelasticity / rheology
 ・oscillating piston viscometer
 ・vibrational viscometer
 ・rotational viscometer

蛋白質溶液の研究方針

最後に、蛋白質溶液の研究について、考え方とアプローチと展開を簡単に整理します。蛋白質溶液は日常にありふれてますが、いかなる系よりも複雑な状態なので、センスのいい実験系を組むことさえできればあらゆる方向に研究が展開できます。この選択に醍醐味と面白さがあります。

研究の考え方

蛋白質は20世紀後半から、多くの研究者の興味を惹いてきましたが、蛋白質溶液として系を考えると現在も難題が山積です。状態があまりに複雑なのが原因ですが、そのため、特定の分野にこだわらないことが大事だと考えています。例えば、物理化学や、応用物理学や、表面科学や、ソフトマター学や、プラズマ物理学や、バイオテクノロジーや、酵素学や、高分子科学や、薬学や、 食品科学など、様々な専門誌に論文を投稿してきましたが、このような「応用理工学類的なアプローチ」をあえて試みれば面白く広がるものです。

アプローチ法

蛋白質溶液はきわめて複雑な系なので、特定の方法や測定法や分子にこだわっていては、理解を深めるのは難しいです。例えば、どこにでもある分光器を使い、アミノ酸を混ぜるだけで蛋白質が安定化するようなことを発見して報告するのが理想で、そうすれば誰でも真似できます。このように、複雑な分子も使わず、特別な装置も使わず、多くの人が理解しやすい方法で、課題を解決できないか、法則を取り出せないか、という見方が大切だと考えています。

産学連携

私たちの研究は産業との親和性も高く、食品や製薬、医療機器、バイオ関連、化学メーカーなど多くの産学連携の経験があります。蛋白質溶液の状態に関する内容であれば、産業にも役立てることができます。多様な課題を解決し、その技術や知識を論文として普遍化し、それを別の課題に生かす循環ができています。なお、企業と大学の両者が実験に取り組み特許化や製品化を目指す共同研究から、特定の課題解決のための受託研究や、定期的にディスカッションするコンサル(兼業)など多様な実績があります。