私たちの研究室では、データを効率的に収集・再構築する技術(圧縮センシング技術)を利用して、100分の1_を見分けるヒト胚子観察用MRIの開発を行ってきました。この圧縮センシング技術により、本来24日必要な撮像時間を12日に短縮し、加速率を2倍にすることに成功しました。しかし、2倍では高速化が不十分であり、さらなる高速化が必要とされています。最近では、従来の圧縮センシング技術を応用した、深層学習によ...
研究内容記事一覧
定量的MRI(Quantitative MRI)は、組織や病変の物理的特性を数値化して画像化する革新的なMRI技術です。この手法により、組織固有の物理パラメータ(例:T2緩和時間)を定量的に測定し、診断に有用な情報を提供することができます。また、病変の検出や経過観察にも役立つため、医療現場での応用が期待されています。しかし、従来の定量的MRIには長い撮像時間が必要という課題がありました。私たちの研...
MRIの臨床応用として、造影剤である超常磁性酸化鉄(Superparamagnetic iron oxide; SPIO)を用いた肝臓の造影検査があります。正常な肝臓の場合、肝臓内に取り込まれたSPIOは肝臓全体で吸収されますが、癌化した肝臓の場合、腫瘍のまわりでのみSPIOが吸収されます。そのため、SPIOの蓄積量の推定により、肝癌に対する放射線治療マージンの定量評価につながると期待されます。近...
小さな物体の内部を拡大して見ることのできる磁気共鳴画像化装置(MRI)を、磁気共鳴顕微鏡(MR顕微鏡)と呼びます。これまで、発生の初期段階にあるヒト胚子の化学固定標本の観察に使用され、ヒト発生学の発展に大きく貢献してきました。発生段階ごとにヒト胚子標本をMR顕微鏡で3次元的に観察することで、器官や臓器の発生や成長過程が詳細に可視化され、3次元形態モデルが作成されています。しかし、これまでのMR顕微...
生体内の拡散は,水分子の動きやすさを表す量です.拡散をMRI撮像により画像化した拡散強調イメージング(diffusion weighted imaging; DWI)やそこから計算される拡散テンソルイメージング(diffusion tensor imaging; DTI)を用いると,脳内の微小出血の発見や微細構造の描出をすることが出来ます.しかし,DWIには,撮像法に由来する歪みが発生するという欠...
野球は日本で最もメジャーなスポーツの一つであり、高校野球がある時期は連日ニュースでその勝敗や注目選手が取り上げられています。野球人口も多いですが、 “野球肘”によってその道を閉ざされる小中学生も少なくはありません。野球肘とは、酷使等によって成長期に起こるスポーツ障害であり、早期に発見できれば休養や投球フォームの改善で治療することができます。近年小学生を対象に行った研究例では、自覚症状が生じる前の初...
MRIは医療現場でも欠かせないものとなっていますが,検査を受けられたことのある方は「時間がかかる」というイメージを持たれているのではないでしょうか。MRIの検査は一般的に30分前後かかっており,これは複数の方法による撮像を別々に行っているためです。MRIでは,T1やT2とよばれる核磁化の緩和時間や,プロトン密度,拡散などといった,組織に関する様々なパラメータを計測することができます。従来は,これら...
MRI の撮像時間の短縮を目指し,我々は撮像におけるデータ収集法について研究を行っています.MRI装置では一般的に,周波数空間を直交的にデータ収集する Cartesian imaging が用いられています.いっぽう,非直交的にデータ収集を行うnon-Cartesian imaging は,撮像時間の短縮が可能であり,体動アーチファクトの軽減や,短い緩和時間をもつ組織の描出などにも優れています.し...
骨年齢とは骨の生物学的成熟度を年齢で表したもので,最も未熟な段階を0歳,日本人では成人に達した段階を男子は16.1歳,女子は14.7歳としています.骨年齢の判定は一般的には小児の発達障害の診断を目的として行われますが,年齢制限のあるスポーツの国際大会での年齢詐称防止やスポーツタレントの発掘に用いられることもあります.骨年齢は手部の骨化の程度により判定されており,これまでは手の単純X線による方法が主...