野球肘診断用車載MRIの開発

野球は日本で最もメジャーなスポーツの一つであり、高校野球がある時期は連日ニュースでその勝敗や注目選手が取り上げられています。野球人口も多いですが、 “野球肘”によってその道を閉ざされる小中学生も少なくはありません。

 

野球肘とは、酷使等によって成長期に起こるスポーツ障害であり、早期に発見できれば休養や投球フォームの改善で治療することができます。近年小学生を対象に行った研究例では、自覚症状が生じる前の初期症状の診断にMRIが有効であることが示されました。しかし、従来の据え置き型MRIでは被験者が診断できる施設に出向かなければなりません。そこで我々は、野球場・スポーツアリーナなどの様々な場所で幅広い対象のスクリーニング検査を行うべく、野球肘診断用ポータブルMRIの開発し、このシステムでの野球肘の診断を目指しています。

 

システムは重量200 kgの0.2 T永久磁石と80 kgのコンソールからなっており、これらはハンドリフトと付属のキャスターによって移動が可能です。本研究では、このシステムを車載し、外部から電源を得ることによって撮像を行いました。自作のMRIシステムを一般車に搭載する例は世界的に見ても初の試みです。屋内および車載の2か所で9名の左右肘を撮像し、2人の専門医による画像評価を行ったところ、診断不可となった例はなく、画質も屋内で撮像した結果と同程度のものを得ることができました。

 

担当:田辺 亮勝、中込 真優、梶原 成生
文責:中込 真優(2018年4月16日)

 

 

 

公開講座での発表の様子
超小型MRIを用いたどこでも出張スポーツ検診 岡本嘉一

 

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