定量的MRIにおけるDeepLearning技術を活用した、高速撮像の試み
定量的MRI(Quantitative MRI)は、組織や病変の物理的特性を数値化して画像化する革新的なMRI技術です。この手法により、組織固有の物理パラメータ(例:T2緩和時間)を定量的に測定し、診断に有用な情報を提供することができます。また、病変の検出や経過観察にも役立つため、医療現場での応用が期待されています。しかし、従来の定量的MRIには長い撮像時間が必要という課題がありました。私たちの研究室では、この課題を解決するため、最先端の深層学習(Deep Learning, DL)技術を活用し、定量的MRIの高速化と精度向上に取り組んでいます。
本研究室での研究として、DC-CNN(Deep Cascade of Convolutional Neural Network)を拡張したqDC-CNN(Quantitative DC-CNN)の開発があります。このqDC-CNNは、従来のDL手法や非DL手法と比較して、高い加速率(Acceleration Factor)でも優れた再構成性能を維持できる点が特徴です。さらに、定量値画像を直接出力でき、データ整合性を考慮した学習により、より正確な定量値推定が可能となりました。
現在、私たちは複雑な組織モデルへの対応やマルチパラメトリックMRIへの応用、臨床応用に向けた検証研究を進めています。定量的MRIがより普及し、高速にとれるように今後とも研究を進めていきます。
担当・文責:藤田 直人(2024年8月27日)