深層学習を用いたヒト胚子撮像の高速化

私たちの研究室では、データを効率的に収集・再構築する技術(圧縮センシング技術)を利用して、100分の1_を見分けるヒト胚子観察用MRIの開発を行ってきました。この圧縮センシング技術により、本来24日必要な撮像時間を12日に短縮し、加速率を2倍にすることに成功しました。しかし、2倍では高速化が不十分であり、さらなる高速化が必要とされています。

 

最近では、従来の圧縮センシング技術を応用した、深層学習によるMRI撮像の高速化は、より高性能であることが注目されています。一般的な深層学習では、学習に大量な画像データが必要とされますが、ヒト胚子の高分解能な画像が現状少なく、データが十分に用意できないことが課題でした。

 

近年提唱された、ゼロショット型自己教師あり学習(ZS-SSL)を用いた高速化は、学習用データを必要としない手法であり、ヒト胚子のような大量にデータを用意しづらい標本に対しては有効とされています。

 

しかし、深層学習を用いた過度な高速化により、実質的な画像分解能が低下し、ヒト胚子の解剖学的に重要な構造が消失する恐れがあり、想定し通りに撮像が可能かどうか検証することは非常に重要です。当研究室では、実際にZS-SSLによる高速化撮像を行い、どの程度の加速率による撮像が可能かを検証し、加速率8倍までは解剖学的に重要な構造が消失せずに撮像が可能であることを検証しました。

 

担当:岩崎 一馬、藤田 直人
文責:岩崎 一馬(2024年8月27日)

 

深層学習を用いたヒト胚子撮像の高速化

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